1946
|草案<全文>
松本委員会「憲法改正案(乙案)」
憲法問題調査委員会/松本委員会「憲法改正案(乙案)」1
[1946年2月2日]
「大日本帝国憲法」ヲ「日本国憲法」二改ム
「臣民」ヲ「国民」二改ム
「帝国議会」ヲ「国会」二改ム
第1条
(A案)
日本国ハ万世一系ノ天皇統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
第4条(削除)
(B案)
日本国ノ統治権ハ万世一系ノ天皇之ヲ総攬シ此憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
第4条(削除)
(C案)
日本国ハ君主国トシ万世一系ノ天皇ヲ以テ君主トス
第◯条
天皇ハ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
(D案)
日本国ハ万世一系ノ天皇之ニ君臨ス
第◯条
天皇ハ此ノ憲法ノ条規ニ依リ統治権ヲ行フ
第2条 (削除)
第3条
(A案)
天皇ハ統治権ヲ行フニ付責ニ任スルコトナシ
(第2項)天皇ノ一身ハ侵スヘカラス
(B案)
天皇ハ国ノ元首ニシテ侵スヘカラス
(C案)
天皇ノ一身ハ侵スヘカラス
第4条(前掲第一条参照)
第5条 (現状)
第6条
天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布ヲ命ス
第7条
天皇ハ国会ヲ召集シ其ノ開会閉会及停会ヲ命ス
天皇ハ衆議院ノ解散ヲ命ス但シ同一事由ニ基ヅキ重ネテ解散ヲ命スルコトヲ得ス
第8条
天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ国会閉会ノ場合ニ於テ国会常置委員会ニ諮詢シ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
此勅令ハ次ノ会期ニ於テ国会ニ提出スベシ若国会ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ
第9条
天皇ハ法律ヲ執行スル為ニ又ハ此ノ憲法ニ於テ法律ヲ以テ定ムヘキモノトシタル事項ニ関ル場合ヲ除ク外行政ノ目的ヲ達スル為ニ必要ナル命令ヲ発シ又ハ発セヒム但シ命令ヲ以テ法律ヲ変更スルコトヲ得ス
第10条
天皇ハ官吏ヲ任免ス
第11条(削除)
第12条(削除)
第13条
天皇ハ諸般ノ条約ヲ締結ス但シ此ノ憲法ニ於テ法律ヲ以テ定ムヘキモノトシタル事項ニ関ル条約又ハ国ニ重大ナル義務ヲ負ハシムル条約ノ締結ハ国会ノ協賛ヲ経ルヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ国会ノ召集ヲ待ツコト能ハサル緊急ノ必要アルトキハ国会常置委員会ノ諮詢ヲ経ルヲ以テ足ル此ノ場合ニ於テハ次ノ国会ニ報告シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
条約ハ公布ニ依リ法律ノ効力ヲ有ス
第14条(削除)
第15条
天皇ハ栄典ヲ授与ス
第16条(現状)
第17条(現状)
第2章 国民権利義務
第18条(現状)
第19条
日本国民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応ジ均ク公務ニ参与スルコトヲ得
第20条(削除)
第21条(現状)
第22条
日本国民ハ居住及移転ノ自由ヲ有ス
公益ノ為必要ナル制限ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第23条(現状)
第24条(現状)
第25条
日本国民ハ其ノ在所ヲ侵サルルコトナシ
公益ノ為必要ナル制限ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第26条
日本国民ハ信書ノ秘密ヲ侵サルルコトナシ
公安ヲ保持スル為必要ナル制限ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第27条(現状)
第28条
日本国民ハ信教ノ自由ヲ有ス
公安ヲ保持スル為必要ナル制限ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第29条
日本国民ハ言論出版集会及結社ノ自由ヲ有ス
公安ヲ保持スル為必要ナル制限ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第30条
日本国民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ請願ヲ為スコトヲ得
第30条の2
日本国民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ教育ヲ受クルノ権利及義務ヲ有ス
第30条の3
日本国民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ勤労ノ権利及義務ヲ有ス
第30条 の4
日本国民ハ本章ニ掲ケタルモノノ外凡テ法律ニ依ラスシテ其ノ自由及権利ヲ侵サルルコトナシ
第31条(削除)
第32条(削除)
第3章 国会
第33条
国会ハ衆議院参議院ノ両院ヲ以テ成立ス
第34条
(A案)
衆議院ハ法律の定ムル所ニ依リ普通平等直接及秘密ノ原則ニ従ヒ選挙セラレタル議員ヲ以テ組織ス
(B案)
衆議院ハ法律ノ定ムル所ニ依リ公選セラレタル議員ヲ以テ組織ス
第35条
(A案)
参議院ハ法律ノ定ムル所ニ依リ職域地域及学職経験ニ依リ選挙又ハ勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス
(B案)
参議院ハ法律ノ定ムル所ニ依リ職域及地域ヲ代表スル者並ニ学識経験アル者ヨリ選挙又ハ勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス
(C案)
参議院ハ法律ノ定ムル所ニ依リ選挙又ハ勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス
第36条(現状)
第37条(現状)
第38条(現状)
第39条(現状)
第39条の2
参議院ニ於テ引続キ三回其ノ総議員三分ノ二以上ノ多数ヲ以テ可決シテ参議院ニ移シタル法律案ハ参議院ノ議決アルト否トヲ問ハス国会ノ協賛ヲ経タルモノトス
第40条(現状)
第41条(現状)
第42条
国会ノ会期ハ三箇月以上トシ勅命ヲ以テ之ヲ定ム 必要アル
必要アル場合ニ於テハ勅命又ハ国会ノ議決ヲ以テ之ヲ延長スルコトヲ得
第43条
臨時ノ必要アル場合ニ於テ常会ノ外臨時会ヲ召集スヘシ
両議院ノ議員ハ各々其ノ院ノ総議員三分ノ一以上ノ賛成ヲ得テ臨時会ノ召集ヲ求ムルコトヲ得
臨時会ノ会期ヲ定ムルハ勅命ニ依ル必要アル場合ニ於テハ勅命又ハ国会ノ議決ヲ以テ之ヲ延長スルコトヲ得
第44条
国会ノ開会閉会会期ノ延長及停会ハ両院同時ニ之ヲ行フヘシ
国会開会中ニ衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ参議院ハ同時ニ閉会ス
第45条
参議院解散ヲ命セラレタルトキハ勅命ヲ以テ新ニ議員ヲ選挙セシメ解散ノ日ヨリ三箇月以内ニ臨時会ヲ召集スベシ但シ其ノ期間内ニ常会ヲ召集スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第46条(現状)
第47条(現状)
第48条
両義院ノ会議ハ公開ス但シ其ノ院ノ決議ニ依リ秘密会ト為スコトヲ得
第49条(現状)
第50条(現状)
第51条(現状)
第52条(現状)
第53条
両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内乱外患ニ関ル罪ヲ除ク外会期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕セラルルコトナシ会期前ニ逮捕セラレタル議員ハ其ノ院ノ要求アルトキハ会期中之ヲ釈放スヘシ
第54条(現状)
第54条の2
国会ニ議員法ノ定ムル所ニ依リ常直委員会ヲ置ク
第4章 国務大臣
第55条
国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス
凡て法律勅令其ノ他国務大臣ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ福署ヲ要ス
(第3項)国務大臣ハ衆議院ニ於テ不信任ヲ議決セラレタルトキハ解散アリタル場合ヲ除く外其ノ職ニ留ルコトヲ得ス
第55条の2
国務各大臣ヲ以テ内閣ヲ組織ス
内閣ノ官制ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第56条(削除)
第5章 司法
第57条(現状)
第58条(現状)
第59条(現状)
第60条(現状)
第61条
(A案)
行政事件ニ関ル訴訟ハ別ニ法律ノ定ムル所ニ依リ司法裁判所ノ管轄ニ属ス
(B案)
(第57条第2項) 行政事件ニ関ル訴訟ハ別ニ法律ノ定ムル所ニ依リ裁判所ノ管轄ニ属ス
第6章 会計
第62条(現状)
第63条(現状)
第64条
(第1項)(現状)
(第2項)(削除)
第65条
(第1項)(現状)
(第2項)参議院ハ衆議院ヨリ移シタル予算ニ付増額ノ修正ヲ為スコトを得
第66条
皇室内廷ノ経費ハ定額ニヨリ毎年国庫ヨリ之ヲ支出シ増額ヲ要スル場合ヲ除く外国会ノ協賛ヲ要セス
第67条 (「憲法トノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出及」ヲ削ル)
第68条(現状)
第69条
(第1項)(現状)
(第2項)予備費ヲ以テ予算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツルハ国会常直委員会ノ諮詢ヲ経ヘシ
(第3項)予備費ヲ支出シタルトキハ後日国会ノ承諾ヲ求ムル要ス
第70条
公共ノ安全ヲ保持スル為緊急ノ需用アル場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ国会ヲ召集スルコト能ハサルトキハ国会常置委員会ニ諮詢シ勅令ニ依リ財政上ト必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
(第2項)(現状)
第71条
(A案)
(第1項)予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ三箇月以内ヲ限リ一箇月ニ付前年度ノ予算ノ十二分ノ一ノ範囲内ニ於テ暫定予算ヲ調製シ之ヲ施行スヘシ此ノ場合ニ於テハ速ニ暫定予算ニ定ムルモノヲ除キ其ノ年度ノ予算を調製シ国会ノ協賛ヲ経ヘシ
(第2項)暫定予算ハ之ヲ前項ノ国会ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
(B案)
(第1項)会計年度開始前ニ予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ会計法ノ定ムル所ニ依リ暫定予算ヲ調製シ予算成立ニ至ル迄之ヲ施行スヘシ
(第2項)前項ノ場合ニ於テ帝国議会閉会中ナルトキハ速ニ之ヲ召集シ其ノ年度ノ予算ヲ提出スヘシ
第7章 補足
第73条
(第1項)(現状)
(第2項)両議院ノ議員ハ各々総議員三分ノ一以上ノ賛成ヲ得テ憲法改正ノ議案ヲ発議スルコトヲ得
(第3項)前二項ノ場合ニ於テ両議院ハ各々総議員三分ノ二以上ト出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上トノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス
(第4項)天皇ハ国会ノ議決シタル憲法改正ヲ裁可シ其ノ公布ヲ命ス
第74条(現状)
第75条(削除)
第76条(現状)